何のために作ったか
Claude Code をエディタ代わりに使い始めると、会話の中で決めたことや調べたことが会話ログに埋もれていきます。 コンテキストが切れるたびに同じ説明をし直すことになり、蓄積が効きません。
下敷きにしたのは、Andrej Karpathy が公開した gist LLM Wiki(新しいタブで開く) のアイデアです。 RAG は質問されるたびに元の資料を検索し直しますが、こちらは LLM が資料を一度読み込んで wiki にまとめ、以降はその wiki を直接参照します。 ページ同士のリンクを貼る、矛盾を見つけるといった管理作業を LLM に任せることで、知識が蓄積し続ける仕組みになります。
ただし gist が示しているのはアイデアだけで、具体的な実装は書かれていません。 "pick what's useful, ignore what isn't" とあり、自分の LLM エージェントと一緒に、自分に合ったものを作れ、とだけ書かれています。
llm-wiki-kit は、このアイデアを Claude Code のカスタムスキルとして自分なりに形にしたテンプレートです。 元の gist が扱っているのは wiki の読み書きまでで、使っていると足りないものが出てきました。 タスクを issue で管理する仕組み、案件ごとに wiki を分ける構成、wiki に設計書を書きながら実装を進める開発フローなど、必要になったものをスキルとして追加していきました。 2026 年 7 月に GitHub で public 公開しています。
何を載せているか
自分のワークスペースでは、開発中のプロジェクトの設計書から日々の作業記録まで、すべてを llm-wiki-kit の上で管理しています。
llm-wiki-kit 自体の設計も、この wiki の中で書いています。 ディレクトリをどう分けるか、スキルをどう作るか、その判断と理由が設計書として残っていて、自分で使いながら手を入れ続けています。
もう 1 つの作品である音声入力のタスク管理アプリ tweetodo も、要件定義から画面設計・データ設計・テストの方針まで、工程ごとの設計書をここに書いてから作りました。
開発以外にも使っています。 転職活動では、メールでもらった求人情報や面談の記録を構造化し、職務経歴をまとめ、面接で話す内容を整理する場所になっています。

たまに、自分が忘れていたことが向こうから出てきます。
別の案件で調べ物をしていると、3 週間前に別の目的で書いたページを Claude Code が持ち出してきて、「この時こう判断していますが、今回もそれでいいですか」と聞いてくる。 言われるまで完全に忘れていた判断です。 リンクが育つほどこれが起きる頻度が上がって、wiki の側から過去の判断が出てくるようになります。
確度と使い道で置き場所を分ける
作業はまず issue を書くところから始まります。 何をやるのか、いま何で迷っているのか、次に何をするのかを 1 ファイルにまとめ、git のブランチのように作業の単位を切ります。 issue tracker の役もこのファイルが持ちます。 コンテキストが切れても、このファイルを読めば続きから始められます。
必要な情報は素材として集めます。 インターネットで調べたこと、本から得たこと、メールや Slack で受け取ったこと。 出どころは問わず、一次情報をそのまま置きます。 ここは整理しません。 加工する前の状態のまま残しておくと、あとで解釈が変わったときに元の記述へ戻れます。
素材のまま置いたものと、読んで確かめたものでは確度が違うので、同じ場所には置きません。 素材を読んで整理する段階で、書き先が 2 つに分かれます。 他の場面でも使い回せる普遍的な知識は汎用の wiki ページへ、その案件でしか使わない情報は案件ごとのディレクトリへ。 確度と使い道で置き場所が決まるので、探すときに「どこを見ればいいか」が構造から分かります。
そして、この一連の作業自体を issue に残します。 なぜその置き場所にしたのかを、後から追えるようにしてあります。 issue には迷ったことと決めたことが時系列で積まれていて、git log を辿れば何をどう変えたかが出てきます。
このポートフォリオサイトも、配色・コンポーネントの責務・動きの設計を wiki ページとして書き、issue で進めながら作りました。 作った道具の上で、次の作品を作っています。
自分の wiki を作ってみてください
repo を clone して setup.sh を叩くと、wiki のワークスペースが 1 つ作られます。
スキルとルールが入った状態から始まるので、最初の 1 ページ目から Claude Code に書かせられます。
要るものは git と node、それに Claude Code 本体です。 llm-wiki-kit 自体は public repo なので clone は誰でもできますが、動かすのは Claude Code なので、そのアカウントと課金は別に要ります。